「潜在労働力3,000万人」のリアルな姿とは?
- 迪宇 坂本
- 3月26日
- 読了時間: 3分

日本の潜在的な労働力人口が約3,000万人にのぼるといわれても、「そんなにいるのか?」と疑問に感じられる方も多いでしょう。実は、この数字の内訳を詳しく見ると、かなり現実的な課題や背景が見えてきます。
①シニア層が抱える壁
約3,000万人の中で大きな割合を占めるのが、65歳以上のシニア層です。「定年後、健康で意欲があっても働く場所が見つからない」「働き方がフルタイムしか選択肢がなく、体力的に難しい」という方が非常に多く存在しています。特に日本の企業はこれまで「フルタイム・正社員」型の働き方が中心であったため、シニアが柔軟に働ける職場が不足しているという課題があります。裏を返せば、短時間勤務やフレックスタイムなど柔軟な雇用環境が整えば、この層は積極的に働きたいというニーズも多く、非常に大きなポテンシャルを持っています。
②病気・けがで働けない方の実態
病気や怪我により就労が難しい方も潜在労働力の大きな割合を占めます。ここには、身体障害や精神的疾患、慢性的な病気のため、働きたくても働けないという方々がいます。しかし、昨今のテレワークの浸透や、デジタル技術を使ったリモートでの柔軟な業務形態の拡大により、従来は難しかった在宅やリモートでの働き方が広がりつつあります。企業がこうした柔軟な働き方を取り入れることで、彼らの就労機会が増える可能性が高いのです。
②子育てや介護による「時間制約」の壁
特に女性を中心に、子育てや介護のために離職している層が約3,000万人の中に多数含まれています。ここでのキーワードは「短時間勤務」「テレワーク」「フレキシブルな働き方」です。実際、「1日数時間でも働ける環境」や「テレワークの積極的導入」が進めば、この層の方々は仕事に復帰できるケースが少なくありません。
③「働くことへの自信喪失」「スキルのミスマッチ」の壁
特に、ブランクが長い人や非正規で働き続けた人たちは、「いまの職場で役立てるスキルがない」「自分に自信が持てない」と感じる方も多くいます。ここで求められるのは、企業や国が主体となって推進する「リスキリング(再教育)」の徹底です。つまり、最新のデジタルスキルやビジネススキルを改めて身につけるための教育訓練を提供し、就労意欲と自信を回復させることで、労働市場への再参入が現実的になってきます。
潜在労働力活用は企業の「姿勢」がカギを握る
潜在労働力が約3,000万人というのは、一見すると「働く意思がない人も含まれているのでは?」と思われるかもしれません。しかし、実際には「働きたいけれど働けない」「働く環境が整っていないために参加できない」という事情を抱えた人も非常に多く含まれています。
つまり、企業が真剣に取り組むべきなのは、労働市場の裾野を広げ、「働ける環境」を積極的に整備することなのです。単に求人募集をかけるだけでなく、シニア向けの短時間勤務制度や健康に配慮した働き方、育児・介護の支援制度、そして柔軟なテレワークの推進など、潜在労働者が抱える課題を解決する取り組みを一歩踏み込んで進めることが、これからの日本企業に求められる姿勢と言えるでしょう。
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