
2023年4月の労働力調査(総務省統計局発表)によると、雇用市場は引き続き安定した増加傾向にあるものの、雇用形態の変化や業界別の動向に特徴的な変化が見られました。
✅ 就業者数:6741万人(前年同月比+14万人) → 9か月連続の増加
✅ 雇用者数:6057万人(前年同月比+7万人) → 14か月連続の増加
✅ 正規雇用者数:3664万人(前年同月比+13万人) → 3か月ぶりの増加
✅ 非正規雇用者数:2064万人(前年同月比-6万人) → 17か月ぶりの減少
雇用者数は増えているものの、非正規雇用の減少が見られ、企業が長期雇用を重視する方向にシフトしている可能性が考えられます。
1. 完全失業率の変化と求職者の動向
2023年4月の完全失業率(季節調整値)は**2.6%(前月比-0.2ポイント)と、低下しました。完全失業者数は190万人(前年同月比+2万人)**と、2か月連続の増加。
求職理由の内訳を見ると:
「勤め先の都合による離職」:前年同月比-1万人
「自発的な離職(自己都合)」:前年同月比-1万人
「新たに求職」:前年同月比+4万人
新たに求職する人が増加していることから、転職希望者が増えていると考えられます。一方で、自発的な離職者は減少傾向にあり、「転職したい人は増えているが、実際に辞める人は慎重になっている」という状況が見えてきます。
💡 企業は、求職者が転職を決断しやすい環境を整えることで、優秀な人材を獲得するチャンスを広げられる。
2. 業界別の採用動向(2023年4月)
2023年4月は、業界ごとに雇用動向の差が顕著でした。
📈 雇用が増加した業界
製造業(+38万人) → 国内生産の増加・半導体需要の回復
情報通信業(+10万人) → IT・DX需要の拡大
宿泊業・飲食サービス業(+8万人) → 観光需要の回復
📉 雇用が減少した業界
卸売業・小売業(-2万人) → EC普及による業務効率化
医療・福祉(-29万人) → 人手不足が深刻化し、離職率が上昇
建設業(-10万人) → 若年層の確保が進まず、人材確保が課題
💡 成長業界では採用競争が激化し、人材確保が難しくなっている。一方、縮小傾向の業界では、人材の流動化が進み、新しい雇用の機会を生み出している。
3. 2023年6月以降の採用市場の展望
📌 採用環境の変化
2023年4月のデータを踏まえ、2023年6月以降の採用市場には以下のようなトレンドが予測されます。
企業の「正規雇用シフト」が進む → 長期雇用の人材確保が重要に
非正規雇用が減少し、正規雇用が増加
安定した職場環境を求める求職者にアピールが必要
求職者の増加 → 即戦力採用のチャンスが広がる
転職希望者は増えているが、実際に辞める人は慎重になっている
「転職するメリット」を明確に伝えることが成功のカギ
DX・IT分野の採用競争が激化
情報通信・製造業での採用競争が加速
「柔軟な働き方」を提示する企業が優位に
💡 企業は「人材確保」と「定着率向上」の両輪で戦略を立てるべき時期に入っている。
4. 企業が取るべき採用戦略(2023年6月以降)
✅ ① 「転職潜在層」へのアプローチを強化
求職者の転職意欲は高まっているが、実際に行動を起こす人は慎重になっています。この「転職予備軍」にアプローチすることが、採用成功のポイントとなります。
📌 企業がやるべきこと
SNS・ダイレクトリクルーティングの活用
転職イベント・キャリア相談会の開催
「なぜ今転職すべきか?」を明確に訴求
💡 転職を迷っている層に適切な情報を届けることで、競争優位を確立できる。
✅ ② 「長期雇用を前提とした正規雇用戦略」
企業の正規雇用シフトが進む中、求職者にとっても「安定した雇用」は重要な判断基準になります。
📌 企業が見直すべきポイント
キャリアパスを明確にする
給与・福利厚生の見直し
研修制度を強化し、成長の機会を提供する
💡 「長く働きたいと思える環境」を作ることで、採用の成功率が向上する。
✅ ③ リファラル採用(社員紹介)を活用
人材不足の中、社員からの紹介制度(リファラル採用)を活用する企業が増加しています。
📌 企業が取り組むべきこと
紹介者・被紹介者にインセンティブを設定
社内のエンゲージメントを高め、紹介を促進
入社後のフォローを強化し、定着率を向上させる
💡 「社内の人が紹介したくなる職場環境」を作ることが、成功のカギ。
5. まとめ
2023年4月のデータを基に、2023年6月以降の採用市場において企業が取るべき戦略を整理しました。
✅ 正規雇用が増加し、企業は「長期雇用を前提とした採用戦略」にシフトすべき✅ 転職希望者は増えているが慎重 → 「転職するメリット」を強調する必要がある✅ リファラル採用を活用し、質の高い人材を確保する方法を模索すべき
💡 「企業の魅力発信」と「長期雇用の仕組み作り」が成功のカギとなる。
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