
2023年2月の**労働力調査(総務省統計局発表)**によると、日本の雇用市場は依然として拡大傾向にありますが、その内訳には重要な変化が見られました。
就業者数は6667万人(前年同月比+9万人) → 7か月連続の増加
雇用者数は6012万人(前年同月比+7万人) → 12か月連続の増加
しかし、雇用形態の内訳を見ると、正規雇用は減少し、非正規雇用が急増している点が特徴的です。
正規雇用者数は3568万人(前年同月比-9万人) → 2か月ぶりの減少
非正規雇用者数は2102万人(前年同月比+29万人) → 13か月連続の増加
企業の採用意欲は継続しているものの、長期雇用よりも柔軟な雇用形態を選択する動きが強まっていることが伺えます。
1. 完全失業率の変化と求職者の動向
2023年2月の完全失業率(季節調整値)は**2.6%(前月比+0.2ポイント)と、若干の上昇が見られました。完全失業者数は174万人(前年同月比-6万人)**と、20か月連続で減少しているものの、求職者の動向に変化が見られます。
求職理由の内訳を前年同月と比較すると:
「勤め先の都合による離職」:-9万人
「自発的な離職(自己都合)」:+2万人
「新たに求職」:+2万人
企業が人材を手放さない方針を取る一方で、転職市場に新たに参入する人の数は増加していることが分かります。
💡 求職者の転職活動が活発化しつつある一方で、慎重に動く層も一定数存在している。企業は「転職する価値」を明確に伝えることが求められる。
2. 業界別の採用動向
2023年2月は、業界ごとに雇用動向の差が顕著でした。
📈 雇用が増加した業界
宿泊業・飲食サービス業(+11万人) → 観光需要の回復で人材確保が急務
建設業(+11万人) → インフラ整備の需要が継続
サービス業(+17万人) → 労働市場全体の活性化
📉 雇用が減少した業界
製造業(+1万人) → 大きな変化は見られず安定
卸売業・小売業(-39万人) → デジタル化やECの発展で雇用縮小
教育・学習支援業(0万人) → 変化なし、少子化の影響も考慮が必要
💡 雇用増の業界では競争が激化し、求職者の奪い合いが進む。一方で、縮小する業界では、キャリアチェンジを考える人材を取り込むチャンスがある。
3. 企業が取るべき採用戦略
① 「短期採用」から「戦略的採用」へシフト
求職者の転職意欲が高まる中、企業は「今すぐ採用する」だけでなく、中長期的な視点での採用計画が不可欠です。
📌 企業がやるべきこと
即戦力だけでなく、育成枠も設ける → 採用競争を回避し、将来的な人材確保につなげる
スキルベースの採用を強化 → 経歴よりもポテンシャルに注目し、未経験でも育成できる体制を整える
採用ブランディングを確立 → 「この会社なら成長できる」と思わせる企業文化・制度をアピール
💡 「この人を雇いたい」と思ったときに即採用できる体制を構築することが、今後の採用成功のカギ。
② 非正規雇用者の活用戦略を見直す
2023年2月のデータからは、非正規雇用の増加が顕著であることが分かります。これは「企業が柔軟な雇用形態を求めている」ことの表れですが、同時に非正規人材の確保が難しくなる可能性もあります。
📌 企業が見直すべきポイント
非正規雇用の待遇改善 → 競争力を高めるために、福利厚生や昇給制度を充実
長期雇用につながる仕組みを構築 → キャリアパスを設計し、非正規→正社員の流れを強化
テクノロジーの活用で業務効率を向上 → AIや自動化で非正規雇用への依存度を調整
💡 非正規雇用を単なる「調整要員」とせず、企業成長の一翼を担う戦略的な存在として活用することが求められる。
③ 「社員紹介制度(リファラル採用)」の積極活用
新規採用が難しくなる中、既存社員を活用したリファラル採用の強化が有効です。
📌 企業が取り組むべきこと
社員紹介のインセンティブを強化 → 紹介した社員・入社した社員双方にメリットを提供
企業文化を魅力的に発信 → 「自分の知人を誘いたい」と思える環境を整備
入社後のオンボーディング(定着支援)を強化 → 紹介された社員が長期的に活躍できる体制を整える
💡 既存社員を活用することで、ミスマッチを防ぎつつ、効率的な採用が可能になる。
4. まとめ
2023年2月の労働市場データから見えてくる採用戦略のポイントは以下の通り。
✅ 求職者の転職意欲が高まる中、企業は「短期採用」から「戦略的採用」へシフトすべき✅ 非正規雇用の増加が顕著であり、待遇改善やキャリアパス設計が不可欠✅ 人材確保が難しい時代だからこそ、リファラル採用の強化が成功のカギとなる
💡 採用市場の変化に対応し、企業の成長につながる採用戦略を実行しよう!
2023年2月の労働力調査について
本データは、各府省等の参画の下、総務省統計局が整備し、独立行政法人統計センターが運用管理しているものです。最新の労働市場の動向を把握し、企業の採用戦略に活用してください。
📢 「採用戦略をどう見直すべきか?」とお悩みの企業様へ最新データを活用した採用戦略のご提案をいたします!ぜひご相談ください。
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